Wreck Beach で遭難した大晦日
謹賀新年
皆さま、あけましておめでとうございます。
昨年は大変お世話になりました。今年も相変わらずのお付き合いのほど
どうぞよろしくお願いいたします。
皆さまにとっても2015年が実り多き1年となりますように。
本ブログも相変わらず相変わらずな感じで元気にやりますんで
さらっと読んでやってください。
真面目か。
ヒガシズム
新年というと初日の出を見に行かれる方も多いはず。
しかし私、どちらかというと始点より終点を大事にしたいというか、
ここ数年は「最後の日の入り」を逃さないようにしています。
2012
2013
そしてそれはカナダにいる今年も同じ。というわけで2014年の締めくくりを拝みに出かけました。
Wreck Beach ~UBC生憩いのビーチ~
UBCの西側に広がる広大なビーチ、それがWreck Beach
実はヌーディストビーチなんですこの話はまた別に書きます鼻血
ヌーディストビーチ鼻血ってこと以外にあらかじめ知っておいてほしいことが2つ。
1つ目、このビーチはふらっとさらっと行けるもの…でもない。
海抜の高いUBC、その周りを走る自動車道から専用の階段を400段くらい降りなければならない。
こんな感じ。
階段は自動車道路沿いに2~3か所ほどしか設けられていないため、ビーチへのアクセスはそれなりに制約がかかる。
行くの大変。…そう。帰るのも。
2つ目、階段の写真からも察することができるが、
ビーチとUBC間はもはや森みたいなエリアになっている。木々が生い茂る。
ビーチに沿うようにTRAILが整備されており、海沿いでこそあるが
さながら森林浴に来たかのような道を歩くことになる。
整備されている、とは書いたがほぼ自然のまんま。くそ狭い。くそ細い。…くそ歩きづらい。
そんなWreck Beachに日暮れを求めていざ参る。
はじまり 南に行きすぎる
日の入りを見ようと思い立ったのが日没のけっこう直前だったためダッシュで寮を後にする。
日の入りは4時23分。
年越しパーティの待ち合わせを7時にしていたが、まぁ余裕だ。
むしろ日の入りの時間に間に合うかが問題だ。
早歩きってゆか
もはや走ってUBCを抜ける。
この時点で道を間違えていた。
以前訪れた際に使った階段にいつまでもたどり着かない。
迫るタイムリミットに焦りながらぐねぐねと進んでいくと
ついに階段を見つける。
今だから言えるのだがこのとき用いた階段はかなり南の方に位置しているものだった。
無我夢中で階段を駆け下りる。
そして海岸沿いに降り立つ。
2014年のピリオドに立ち会う。
ヒガシズム。
ここでまっすぐ来た階段を登ってUBCに戻ればよかったのだ。
よかったのだが。
如何せん日の沈みたてはまだ明るい。
2年連続で日の入りを拝んでいるから分かるのだが、
陽が沈んでからも渋ってしばらく待つと
辺りは美しい夕焼けに包まれて
それが海とマッチしてより映える。
せっかくだからここにいてもあれだから
海岸沿い (=TRAIL、劣悪な道なき道、と今だから強調する) を歩きながら
もちょっと粘ってみるか、と狭―い道に入って行ったのだった。
これが1つ目の過ち。
鏡の空間
15分くらいだろうか。
なんも考えず(アホ)てくてく歩くと
少し開けた場所にでた。
そこは海沿いというかもう湿地帯といった方がふさわしい。
砂浜、ではなく泥地。ぬかるみに足をとられ下手をすると埋まるか転ぶか、といった感じ。
湿原に遊歩道なく放り出された感じ。
でも足元に注意がおよばないくらい、目の前の光景に息をのむ。
海なのに、波がない。
さざ波の根源は風である。
さながら鏡のような水面が映し出すのは
すっかり暮れきった西の空の赤。2014年最後の夕暮れの赤。
やおら水鳥の群れが降り立ち、揺れる海面と夕暮れに影を落とす様もまた美しい。
世界の絶景100選てきなものとやり合えるであろう
自然の織りなす色彩のマジックが
こんな近くで拝めるなんて、といたく感動したのを覚えている。
さて、我に返る
日の入りを見てからこの鏡の間に歩いてきた道はわりと下っていた印象があった。
つまり戻るのは登りになる。
ここで2つ目の過ち。
来た道を帰るのにだるさを覚える。
というわけで、まぁなんとかなるべという根拠ない自信と、鏡の空間以上の何かが待っているのではという好奇心から、さらにその道を進むことに。
皆さん。確認です。
今、どういう時間帯でしょう。
日の入りを見に来た、といいましたね。
日、暮れますよね。
日、暮れてますよね。
暗くなるんですよね。
暗くなるんですよね。
TRAILの途中で気づいた。
暗い。
見えない。
見えない。
見 え な い !!!!!!!!!!!!!
(写真はTRAILを写したのものです)
ついさっきまではっきり見えていた足元が
明らかに判別できないレベルで暗い。
時間をおってそれがなお暗くなっていく。
いかんいかんと思いながら
その状態でkeep on going すると…
…あれ?行き止まり?
そう、気づいたら道でないところに突っ込んでしまっている自分がいるのだ。
もともとTRAILといっても整備はほとんどされていないので、
正しい道を判別するのでも一苦労。ましてこの暗闇だと正規ルートから外れるリスクは非常に高い。
さすがにやばいと思ったりょーすけは来た道を帰ろうと思案。
しかし、階段から鏡の空間までで約15分。しかも逆方向だから登りになり、一層時間をくうことになる。そして今鏡の空間からさらにさらに進んでしまっている。
来た道を戻ろうとすれば完全に真っ暗になるのは確実。
でも、と思って少し来た道を戻ってみる。
ちょっと歩いて気づく。
あれ…これも道か?
どっちから来たんだ?
そう、「来た道」は、道自体同一でこそあるが
行き帰りでは当然見据える方向が真逆になるため、
この暗闇のもとではもはや新しい道をゆくのに等しい様相になる。
そう、来た道を戻ろうとしてももはやしっかり帰れるか怪しい、とまで思えるほどだった。
どちらに進んでも暗闇。
カメラはかしゃかしゃ撮ってたら電池がきれてしまった。
iPhoneの電池はわずか28%。電波はない。
食べるものなんて当然もってきていない。飲み物もない。寒い。
これって。
軽い遭難ですか?
そーなんです。
(クスッ)
・・・・・・。
いやぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ま、まぁ、暗いとはいえ、狭いとはいえ、いつの間にか道じゃないとこに行っちゃうかもしれないとはいえ、基本的に、ト、TRAILはTRAILなんだし、ま、まともに歩いていけば、別の階段にたどりつく!うん!つく!! つーーーく!!!!!!!! ということでとりあえず歩みを進めることに。
遭難時の傾向と対策① うるさくなる
暗くなってきて怖い。自分というものの認識も暗さにより失ってしまいそう。
我ここにあり、それを示していかねば死んでしまう。本当に死んでしまう。そんな気がする。
というわけで歩きながらやたら声をだします。
こんな感じです。
「うっほぁあああああああ死ぬぅううううぅううう死ぬぅうううううう!!!!!!このままだとしぬぅううううう!!!!!! いいえぇぇええええあえええええええええああああああ!!!!!」
あるいはこんな感じです。
「寒いぅぃぃぃいいいいいいいいいいいいいぃいいい暗いぃぃいいいいいいいいいい寒い暗い寒いくらぁあああああぁぁぁぁぃやあっはあぁぁぁあああ!!!!!」
おんなじやおんなじやおもてぇー
の人に勝てる自信あります。
あるいは高橋英樹みたくとりあえず大爆笑してみるのも良い。
あるいは市原隼人みたくッハッ!!!アツいぜ!!!ッハッ!!!!とかいうのも効果的。
遭難時の傾向と対策② 音楽きいてノリノリでいこーぜ!
とりあえず元気をだそう!ということでiPod用意。
ノリノリな洋楽でも聴いて
こんなんやっすいハイキングだぜ!と自己暗示だぜ!ッハッ!!!!!
するとランダム再生で流れてきた曲がなんだか結構カッコイイ。
耳そばだてて歩いていると…
♪So now you know~~♪
ん?
♪ソゥナゥユノゥ~~♪
♪そうなうユノゥ~~♪
♪そうなんユノゥ~~♪
♪遭難ユノゥ…
♪遭難…
やめろぉぉおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!
(ガチですこれ。)
遭難時の傾向と対策③ いちいち不安になる
そうこうしているうちに本当に真っ暗に近い状態になってきた。
やばい。iPhoneの明かりで照らすことでなんとか足元が見えていたけど
Low battery の警告が入った、やばい。
湿地帯ゾーンは地味にずーーーっと続いていて、明かりのない歩行はときに深いぬかるみにスニーカーをうずめることになる。
ジーパンはすでに泥だらけ。
するとある時本当にふっかいぬかるみに足をすくわれ、軽くひねる。
ぐきっ
幸い大事には至らなかったけど
あ、ひねって歩けなくなったら死ぬんだな
とか考える。リアルに。
そしてなお歩みすすめると
氷と霜のエリアにでた。
※イメージ図
氷と霜。氷と霜。極寒。凍死。凍死。と…
いやぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
遭難時の傾向と対策④ 走る
③の結果。
もうね、奇声あげながら走る様はね、もうね、変態。
遭難時の傾向と対策⑤ それでも帰らなきゃ、と思う
結構絶体絶命だったけど進む、進む。
そう、
この後は年越しパーティがあるのだ。
2015年が待っているのだ。
そして何より7時に寮で待ち合わせをしている、
仲間がいる゛よ!!!!!
パーティ会場は俺しか知らないんだ。
そう、俺がいなきゃ彼女らも会場にたどり着けないんだ。
そう、俺を待ってる
仲間がいる゛よ!!!!!
遭難時の傾向と対策⑥ 焚火してる人に道をきく
7時に絶対に待ち合わせ場所にいく。絶対。
そのために半分根性で歩を進める。
するとまた少し開けたエリアにでたとき、火をたいている人を発見。
やったぁぁ!!!!!
なるほど、雪山で山小屋を見つけたときってこんな気持ちなのか。
すかさずそのアベックに駆け寄る。
まず火に当たらせてもらう。結構冷えてる自分に気づく。
そして道をきく。
するとこのままいけばもうすぐで階段のある開けたビーチにでるらしい。
助かった……
彼らはそこでしばらく火を囲んで語り合うそうな。
彼らの年越しがよきものであることを祈る。
こうして歩き続けた結果
なんとか別の階段にたどり着き
400段の怒涛の階段のぼりですっっっっかりヘロヘロになりながらも
無事UBCに帰り着いたとさ。
波乱万丈の日の入り観察だったけど
なんとなく2014年の締めにはふさわしい体験だった。
そして何食わぬ顔で← 年越しパーティに向かいましたとさ。
あ、パーティほんとに素敵な時間でしたありがとうございました。
ハイ、今年もこんな調子で(?)やってくと思います。
皆さんも良いお年を★