スケッチ!UBC

よーべーせー留学記  ~UBC、バンクーバー、えとせとら~

さようなら、バーバー・イカニモ

凍てつく冬があけ、はやいものでバンクーバーには春が来た。
まだコートがないと肌寒いときもある一方で、日はすっかりのび
春を彩る花々が咲いて散ってのバトンリレーを繰り広げている。
月日は流れ、うららかな日々の中に蕾は膨らみ花は咲き、花は散り、髪は伸びる。
そう、髪は伸びてぼさぼさになるのだ。

 

 

僕は少し迷っていた。
順当にいけば
「例の床屋」
また髪をきることになるだろう。
普通にカットに関しては申し分ないし値段もリーズナブルだ。
そしてこの床屋のブログにおける反響をみるに、ある意味鉄板ネタとしての立ち位置が確立している。

 

しかし。

 

マンネリは惰性、惰性は向上心の大敵だ。

この床屋、第一回のカルバンおじさん、第二回の上沼恵美子の2人経営のはずだ。


つまり、

ぶっちゃけもうネタを掘る余地がない。

 


バーバー・イカニモが「面白い」という反響をいただけたのは
これらの非常に特色ある登場人物たち、
そして
「怪しげな見知らぬ床屋」につっこんでみたという冒険っぷりによるだろう。

もうここには「冒険」はない。むしろ「安定」だ。

いいのか。安定に満足していいのか。

 

 

 

 

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とかいいながら来ちゃいました(爆

 

 

 

そう。今回でバンクーバーでの散髪は最後になるだろう。


このバーバー・イカニモは結構バッサリきる傾向にあるため
髪が伸びるのがむちゃくちゃはやい(髪がのびるのがはやい人はスケベ、という都市伝説があるが、信じるかは貴方次第である)僕でも2ヶ月はほっとける。

 

今回の目的、それは「別れ」を伝えることだ。
(あと今更床屋探しとかめんどくさい)

 

ちなみに第一部、第二部はそれぞれこちらを参照のこと。

 

sketch-ubc-ryos.hatenablog.com

 

 

sketch-ubc-ryos.hatenablog.com

 


上沼恵美子のおしゃべりカッティング・最終回(第2回にして)

 

今回の担当は第二回で壮絶な49番カットをみせた通称上沼恵美子。
相変わらずのテンションで迎え入れてくれた。
カルバンおじさんはこの日は店の奥で大きく構えている(雑誌を読んでいる)。

 

僕はこのバーバー・イカニモの日本人唯一の常連として
大変信頼をおいている。
今回は最終回ということで、思い切って

 

 

「おまかせで」

 

 

を使った。

怖かったのでスキンヘッド以外で、と付け加えた。

 

 

いつもの感じで、所定の場所にないハサミをごさごさと探し、
カット開始。

 

この日はどういう風の吹き回しなのか
キリフキブシャーの量がいやがらせレベルで多い。


なんでしょうか。蒸し料理なのでしょうか今日は。
髪どころか顔もびっしゃびしゃのりょーすけ。
とりあえず腕時計を退避させる。

 

で、カット開始。

 

そーいえば上沼さんは前回のカットの際
日本に行く旨を盛んに話していた。そう。日暮里信者だ。(第二部参照)

 

というわけで必然的に、その旅行についてきくことに。

上沼さん、日本がいたく気にいったらしく、beautifulって8回くらい言ってた。
何はともあれ良い旅行だったようだ。

 

旅行中はどこにいったの?と聞いてみた。

 

Ah~, Sabae! Sabae!!

 

 

…え、
鯖江??

 

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※鯖江市(さばえし)

福井県嶺北地方の中央部に位置するである。鎌倉時代誠照寺門前町として発展し、江戸時代には間部氏鯖江藩5万石(のち4万石)の鯖江陣屋を中心とした陣屋町となった。多くの世帯が特産である眼鏡関連の産業、あるいは業務用の漆器生産に関わっている。(wikipediaより)

 

眼鏡で有名なあの鯖江に、わざわざ赴いたのか。どんだけ眼鏡好きやねん。

眼鏡男子りょーすけは驚きを隠せない。しかし鯖江は福井県だ。けっこう遠いぞ、頑張ったな。

 


ふーん、っていって、しばらく考えて
ピンときた。

 

 


ぼく:・・・Shi bu ya ??


上沼:Yea!! SHIBUYA!! SHIBUYA!!

      WWWWWWWWWWWWWWWWW

 

 

渋谷だった。大都会だった。

寝耳に水の忠犬ハチ公。

 

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とはいえ、スクランブル交差点すごかったでしょ?って言ってあんまりピンと来てなかったので
ほんとに鯖江行った説まだある。

 

あとはスカイトレインに乗ったとか言ってたがこれは多分ゆりかもめ、かな。

 

そして上沼さん、東京のラーメンがいたく気に入ったらしい。


黒味噌ラーメンの虜になったようで、
いつもは一回ラーメンを食べると暫く食べたいと思わなくなるが(うん、これは上沼さんに限らずしごく万人共通)、
日本では毎晩ラーメン食べたいって思ったわ
って言ってた。

健康には留意してほしい。

 

あとご存知のとおりバンクーバーにも日本発祥ラーメンチェーンがいくつかある。
バーバー・イカニモの近くには山頭火があるし、おなじロブソン通り沿いにはほかにも様々なラーメン店が。
何店か紹介したけどあんまり行きたそうではなかったという謎。
「日本の」ラーメン、ではダメで、「日本で食べる」ラーメンがいいのだろうか。
ちょっと分からんでもないな。僕もはやく大和屋と哲麺行きたいな(ビバ国立)。

 

あと、上沼さんが驚いていたのが、
まぁ電車の混みっぷりはさることながら
道行く人がみなスーツを着ているということ。

ビジネスセクターという様相の薄いバンクーバーから来ると
スーツをまとったビジネスマンの闊歩する東京は非常に新鮮だったみたい。
バンクーバーってそんなもんです。確かに平日でもスーツきた人はほとんどみない。

 

ともかく東京を存分に楽しんだと思われるので良かったよかった。

 

今回は前回以上に、
話してて笑いの多い上沼さんだった。
幸せそうな人をみるとこちらも自然と笑えた。

 

 


いま別れのとき

 

今回がここでの最後の散髪だという旨を伝えると
時間の流れははやいねーっていう
いかにもこの年頃のおばさんが好きそうなフレーズがでてきた。
でもまさにその通り。
ドキドキしながらこの床屋を訪れたのはいつだっただろうか。


カットが終了。
まぁ、うん。
49番。


出る際、日本でまた会いましょうという約束をしてきた。

ちょっと、『メトロに乗って』をBGMに東京を歩く上沼さんが脳裏によぎったけど
すぐに封じ込めた。

 

ともかく。

楽しい床屋だった。

 

別れ際、上沼さんのいつもの笑顔の裏になんかぬくもり的なそれを感じてしまった。
バンクーバーの両親、とでもいうんですかねこれ。
目を細め優しい笑顔で送り出してくれた。息子は日本に帰ります。ちょっと目がしら熱くなった。ほんとに。

 

お父さ…もといカルバンおじさんは店の奥で大きく構えていた(雑誌を読んでいた)。

 


さようなら、バーバー・イカニモ。

 

 

 

 

 

 

最後に、ここの床屋の正式な名称は、というと。

 

 

 

D&K  Nail,Hair & Beauty Salon

 

 

 ドンキーコングだった。